用語集


 ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行


[ア]


lAEA
国際原子力機関。国連の下部機関の一つで、原子力平和利用を通じて世界の平和と繁栄に貢献することを目的に1957年設立された。本部はウィーン。日本は設立当初から加盟している。(International Atomic Energy Agency の略)


lCRP
国際放射線防護委員会。放射線防護の基準を勧告することを目的として昭和3年(1928年)国際放射線学会議の委託によって結成された国際的な委員会。昭和31年(1956年)以降は世界保健機構(WHO)の諮問機関として活動している。ICRPの勧告は国際的に権威あるものとされ、我が国をはじめ、各国の放射線防護基準の基本として採用されている。(International Commision on Radiological Protection の略)


アルファ線(α線)
放射線の一種でアルファ粒子の高速の流れをいう。アルファ粒子は、2個の中性子と2個の陽子からなる原子核すなわちヘリウムの原子核である。電場、磁場で屈曲し、化学作用、写真作用がある。物質を通りぬける力は弱く、薄い紙一枚程度で止められる。


アルファ崩壊(壊変)
アルファ線を放出する放射性崩壊。アルファ崩壊をした原子核は、その結果、原子番号が2、質量数が4だけ減少する。


インターロックシステム
原子炉等の誤操作を防止するため、正しい手順で操作した時しか作動しないようになっているシステム。


ECCS
非常用炉心冷却装置の欄参照。(Emergency Core Cooling System の略)


宇宙線
宇宙空間を非常に速い速度で飛んでいる放射線。一個の宇宙線が地球上に飛びこんでくると、地上に到達するまでに大気中の原子核と反応して、陽子、中性子、電子、光子などの放射線を約1億個ほど生ずる。これらの放射線は宇宙線シャワーと呼ばれる。


ウラン
天然に存在する92種類の元素の中で最も重い元素で、すべて放射性同位元素である。天然のウランにはウラン−234(存在比0.005%)、ウラン−235(同0.72%)、ウラン−238(同99.275%)の3種類が存在する。このうち原子炉で核分裂するのはウラン−235のみで、ウラン−238はそのままでは核分裂せず、中性子を吸収させるとプルトニウム−239に変化し、燃料として使用できる。


ウラン系列
ウラン−238に始まり、途中ラジウム−226、ラドン−222などを経て安定な鉛一206に終わる自然放射性元素の崩壊系列の一つ。


ウラン濃縮
天然ウランの中に含まれる核分裂性のウラン−235の割合は、約0.7%である。軽水炉で効率的に核分裂を起こすには、ウラン−235の割合を2〜4%に高める必要がある。同位体混合物である天然ウランから目的とするウラン−235の含有量を高めることをウラン濃縮という。ウラン−235とウラン−238のわずかな質量差を利用した遠心分離法やガス拡散法、レ−ザ法、化学法等がある。


液体シンチレーションカウンタ
試料を液体のシンチレータと混合し、放射線の作用により発光した光を測定することにより放射能を測定する装置。通常、トリチウムのようなエネルギーの低いべ一夕線の検出に用いられることが多い。(参照:シンチレータ)


SI単位系
昭和35年(1960年)国際度量衡総会で採択された単位系。我が国においても原子力、放射線関係の単位については昭和53年の計量法の一部改正で採用された。


X線
1895年ドイツの物理学者レントゲンが真空放電管の実験中に発見したことからレントゲン線ともいう。電磁波の一種で、通常、紫外線とガンマ線との間のエネルギーを持つ。電子と原子の非弾性散乱や電子の内部転換等によって電子が励起されたり、または電子が原子からはじき出された状態から安定な状態に戻る際に、そのエネルギーが電磁波(X線)の形で放出される。X線は原子核内から出るガンマ線と発生の仕方が異なるが、同じ性質をもった電磁波である。X線は蛍光作用、電離作用、写真作用等を有し、物質の透過力はエネルギーが高いものほど大きく、この性質を利用して医療のほか非破壊検査等にも使われている。


NaI(Tl)シンチレーションカウンタ
NaI(Tl)シンチレータを検出器として用いる放射線計数装置。主としてガンマ線の計測やガンマ線スペクトルの測定に用いられる。


エレクトロンボルト
記号eV。エネルギーを表す単位の一つ。電子1個が1ボルトの電位差のある真空中を通過したときに受けるエネルギー。電子ボルトともいう。


応力腐食割れ
金属溶接時に発生した力(応力)は接合部に残存するが、これが水中の酸素イオンなどの多い所に置かれると、機械的な作用と電気化学的な作用によって徐々にひび割れが進行する現象。


親核種
ある放射性核種Aが崩壊して別の核種Bに変化したとき、AをBの親核種という。このときBはAの娘核種と呼ばれる。


温排水
火力や原子力発電において、タービンを回した後の蒸気は、復水器で冷却されて水に戻り、再び炉に送られる。この復水器の冷却水として、我が国では海水が使用されている。蒸気を冷やした海水は、復水器を通る間に温度が上昇し、放水口から海に戻されるので、一般的にこの海水を温排水と呼んでいる。


[力] 目次へもどる


加圧水型原子炉
減速材として軽水(普通の水)を使い、普通100〜150気圧くらいの高い圧力を加えて沸騰を抑える形式の原子炉。このため炉心で発生した熱を取り出す一次冷却系とタービンを回すための蒸気を発生する二次冷却系とは、熱交換機(蒸気発生器)によって完全に分離されている。核燃料としては低濃縮ウランを用いる。この形式の炉はアメリカが潜水艦等の艦船用に開発した原子炉を発電用に開発したもの。泊発電所1、2号機ともこの型 の原子炉である。PWRと略す。


ガイガー計数管
ガイガーミューラー計数管を略していう。GM計数管とも略す。べ一夕線やガンマ線の検出器で、放射線の測定によく用いられる。放射線の入射によって一定の電離電流(パルス電流)が得られるようにした計数管。


外部被ばく
生体の外部に存在する放射線源から出る放射線を受けることをいう。放射線源としては地面や建物の中の天然の放射性物質、医療で使うエックス線装置などがある。体外被ばくともいう。


核種
原子または原子核の種類を示す用語で、原子番号と質量数で区別する。たとえば、コバルト−59とコバルト−60とは同じ原子番号をもっているので同じ元素であるが、質量数が異なるため、異なる核種であるという。核種のうち放射能をもつものを放射性核種と呼ぶ。現在1,250種類ほどの核種が知られており、このうち280種が天然に存在する安定核種である。


確定的影響(非確率的影響)
放射線による影響が現れるしきい線量が存在し、その影響は線量の大きさとともに症状が重くなる。白内障、皮膚の損傷、生殖細胞の損傷などがこれである。これを防ぐにはその影響が現れるしきい線量を超えないようにする。


核燃料サイクル
原子力発電所で使用されるウラン燃料は、鉱山で採鉱されてから各工程を経て、ウラン−235の濃度2〜4%の核燃料となり、原子炉で使用される。一定時間燃やすとウラン−235の割合が減少し、燃焼しにくくなるので、使用済み燃料として取り出し、再処理工場で燃え残ったウラン−235とウラン−238から核変換によって生じたプルトニウムを回収する。これらを再び燃料に加工して使用する流れを核燃料サイクルまたは原子燃料サイクルと呼んでいる。


核反応
原子核が中性子や陽子などの粒子、または他の原子核との衝突によってその原子核は全く異なった他の原子核に変わることがあり、これを(原子)核反応という。核反応から発生するエネルギーは化学反応によるエネルギーに比べ約100万倍も大きい。核分裂、核融合も核反応の一種である。


核分裂
重い原子核が外部からの中性子を吸収すると不安定になり、2個以上の原子核に分裂する現象。それと同時に平均2〜3個の中性子が飛び出し、次の原子核を分裂させる。このように次々と核分裂が起こるのが核分裂連鎖反応である。ウラン−233、ウラン−235、プルトニウム−239のように熱中性子を取り込むことによって分裂するもの、ウラン−238、トリウム−232のように速中性子によって分裂するもの、カリフォルニウム−252のように自然に分裂するもの(自発核分裂)などがある。


核分裂生成物
核分裂によって生じた核種の総称。たとえば、ウラン−235に熱中性子があたるとウラン原子核が2つに分裂し、クリプトンやバリウムのような元素にかわる。このようにしてできた原子核の多くはウランやプルトニウムの半分くらいの重さを持ち、放射性であることが多い。核分裂生成物にはクリプトンやキセノンなどの希ガスのほか、ヨウ素などの揮発性物質およびセシウム、ストロンチウム、バリウムなどがある。


確率的影響
放射線による影響の発生する最低線量、すなわち、しきい線量がないものをいい、線量の増加とともに発生確率が増加すると考えられている影響で、発がん作用と遺伝的影響がこれにあたる。


仮想事故
仮想事故とは、原子炉の安全を審査するとき、技術的にみて最悪の場合に起こるかもしれないと考えられる重大事故より、さらに多くの放射性物質の放出を想定した事故のことで、技術的にみて起きるとは考えられない事故。(参照:重大事故)


環境モニタリング
一般に、原子力施設から出る放射線および放射性物質を監視する目的で、その周辺の環境の放射線および放射性物質を測定、評価することをいう。本道では、泊発電所から放出される温排水の影響調査も含めて環境モニタリングといい、環境放射線監視および温排水影響調査基本計画、監視および調査結果の評価方法を定め、これに基づいて泊発電所周辺地域の環境モニタリングを実施、評価している。


ガンマ線(γ線)
不安定な原子核が放射性崩壊(壊変)をしてアルファ線やべ一夕線を出した後、さらに電磁波を出して一段と安定した原子核に落ちつこうとする場合が多い。この時出る電磁波をガンマ線といい、性質はX線と同じである。また、ガンマ線は生物に影響を与える電離作用はアルファ線、べ一夕線に比べて小さい。ガンマ線は工業の分野で金属の厚さの測定や非破壊検査、医学の分野ではガンの治療、農学の分野では農作物の品種改良など広く利用されている。


ガンマ線スペクトロメータ
放射性核種から放出されるガンマ線は、その核種に固有のエネルギーを持っているため、ガンマ線のエネルギー分布を測定することにより核種を知ることができる。この性質を利用して核種分析を行う装置をガンマ線スペクトロメータという。使用するガンマ線検出器に応じてGeガンマ線スペクトロメータ、NaI(Tl)ガンマ線スペクトロメータと呼ばれる。(参照:スペクトル)


希ガス
周期律表第0族元素の総称でヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンおよびラドンの6つの元素をいい、存在する量が非常に少ないので希ガスという。また、他の元素と化合物を作らないので不活性気体ともいう。原子力の分野で単に希ガスという場合は、クリプトン、キセノンの放射性同位体をさすことが多い。


キャスク
放射性物質を輸送するために用いる輸送容器。収納物の性格に応じてそれぞれ技術基準が設けられており、収納物の放射能の弱い方から順にL型、IP型、A型、B型と大きく4種類に分類できる。それぞれ必要に応じた放射線遮へい機能、密封機能、冷却機能及び構造強度を備えており、国際基準に基づいた信頼性実証試験の後、型式承認が行われている。


キャニスター
現在使用済み燃料の処理時に発生する核分裂生成物の廃液(高レベル廃棄物)の処理方法として、ガラスに混合し、ステンレス性円筒容器に流し込んで固化(ガラス固化体)し、安定地層中に保管廃棄されることになっている。このステンレス容器をキャニスターと呼んでいる。


吸収線量
放射線が照射された物質の単位質量当たりに吸収されたエネルギーの量。物質1sあたり1ジュールのエネルギーが吸収されたとき、1グレイ(Gy)の吸収線量であるといい、照射される放射線の種類、エネルギー等によって異なるほか、照射された物質の種類(生物体が非生物体か、筋肉か骨か等)によっても異なってくる。旧単位のラド(rad)に相当する。(参考:1rad=0.01Gy)


キュリー
記号Ci。放射能を表す旧単位。1秒間に放射性核種の原子核の数が370億個崩壊するときの放射性物質の量を1キュリーという。SI単位系における1ベクレル(Bq)との関係は次のとおり。1Ci=3.7×1010Bq(参照:放射能)


グレイ
吸収線量の単位で記号はGy。(参照:吸収線量)


軽水炉
軽水(普通の水)を減速材及び冷却材に使う形の原子炉の総称。沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)があり、ともに実用化された形式の原子炉として原子力発電所、原子力船などの動力源として用いられている。


計数率
放射線を計数装置で測定したときの単位時間あたりの計数(カウント数)をいう。1分間あたりの計数率をcpm、1秒間あたりの計数率をcpsの記号で表す。


ゲルマニウム検出器
放射線によるゲルマニウム半導体の電離作用を利用した放射線検出器の一つ。すぐれたエネルギー分解能を有しているため、ガンマ線スペクトル測定による放射性核種の同定に広く利用されている。


原子核
原子の中核をなすもので、陽子と中性子からなる。陽子の数だけプラスの電荷を持ち、原子の質量の大部分を占める。


原子番号
記号Z。元素の原子核に含まれている陽子の数。同位体は原子番号が同じで質量数が異なるものをいう。


減速材
原子炉内で、ウラン−235の核分裂を効率よく起こすには核分裂で生じた高速の中性子を熱中性子まで減速(あるいはエネルギーを減少)させる必要があり、このために用いられる物質。軽水(普通の水)、重水、黒鉛等があり、この減速材の種類により、軽水炉、重水炉、黒鉛ガス炉などの分類が行われる。


[サ] 目次へもどる


サーベイメータ
放射線を検出測定するための携帯用の測定器。アルファ線、べ一夕線、ガンマ線及び中性子線測定用のサーベイメータがある。検出器の種類には電離箱式、GM管式、シンチレーション式などがある。


GM計数管
ガイガー計数管の欄参照。


シーベルト(Sv)
放射線による人体への影響の度合を表す単位で、旧単位のレム(rem)に相当するもの。(参照:等価線量)


しきい値
外から作用を与えて何かある現象や効果を起させる場合、必要とする最小の作用量。これ以下の量ではその現象あるいは効果は起こらない。ある種の放射線障害は、一定の放射線量以下では発生せず、これを超えて始めて発生する。このときの限界線量をしきい値という。


実効半減期
外から作用を与えて何かある現象や効果を起させる場合、必要とする最小の作用量。これ以下の量ではその現象あるいは効果は起こらない。ある種の放射線障害は、一定の放射線量以下では発生せず、これを超えて始めて発生する。このときの限界線量をしきい値という。

実効半減期 = 物理半減期×生物学的半減期/物理半減期+生物学的半減期


実効線量
人体が放射線を受けた場合、その影響の現れ方は、放射線の種類、エネルギーや人体の組織によっても異なる。実効線量は人体のいろいろな組織への影響を合計して評価するために使用する量で、各組織の等価線量にその組織の放射線感受性を表す組織荷重係数を掛けたものを、放射線を受けたすべての組織について合計し求める。シーベルト(Sv)という単位で表す。(参照:等価線量)


質量数
記号A。原子核を構成する陽子及び中性子の数を加えた数。すなわち、陽子数をZ、中性子数をNとすれば、A=Z+Nがその原子核の質量数である。元素記号の左肩に137Csのようにしめす。


周辺監視区域
原子力施設の周辺に設けられる区域(いわゆる敷地境界内の区域)であって、その外側のいかなる場所においてもその場所における放射線量が経済産業大臣の定める線量を超えるおそれがないような区域。線量限度は1年間につき1ミリシーベルトと定められている。(「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規程に基づく線量当量限度等を定める告示」、平成元年)


照射線量
X線またはガンマ線で適用される単位で、空気の電離に基づいて表された放射線の量。電離能力を空気1s当たりのクーロン数で表す。SI単位ではクーロン毎キログラムで表す。旧単位ではレントゲン(R)が用いられていた。


照射線量率
単位時間あたりの照射線量。クーロン/s・時のように1時間あたりで表すことが多い。


重大事故
重大事故とは、技術的見地から見て、最悪の場合には起こるかもしれないと考えられる事故で、原子力施設の立地に際し、周辺の公衆に放射線障害を与えないような立地条件の適否を判断するために、想定する事故である。PWRの場合には、一次冷却材喪失事故、蒸気発生器伝熱管破損事故などの事故が重大事故とされている。(参照:仮想事故)


除染
放射性物質による汚染を除去あるいは低減させること。除去対象物によって、区域除染、機器除染、衣料除染、皮膚除染などにわけられる。


シンチレータ
放射線があたると蛍光を発する性質を持った物質。放射線の検出器に利用される。よく用いられるものはアルファ線用としてZnS(硫化亜鉛)、ガンマ線用にNaI(タリウム活性化ヨウ化ナトリウム)などがある。液体状のものは特に液体シンチレータと呼ばれる。


スクラム(原子炉緊急停止)
原子炉内の温度、圧力、中性子数などが異常な状態になると、安全装置が作動して自動的に制御系が働き、原子炉の運転を停止する。これを原子炉のスクラム(緊急停止)と呼んでいる。発電用原子炉ではあらかじめスクラム条件を設定しており、その条件の一つが現れると緊急停止する。計器類が、異常を示したにもかかわらずスクラムが起こらない場合には、運転員の判断で手動で緊急停止されることもある。


スリーマイル島原子力発電所事故
米国ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所二号機で昭和54年(1979年)3月28日に起きた事故。機器の故障、操作ミスなどが重なって起きたもの。


スペクトル
放射線の強さの分布を、その波長、エネルギー、周波数、運動量、質量などの関数として、写真またはグラフ上に表したもの。放射性物質の同定に利用されるガンマ線スペクトルは、横軸にガンマ線のエネルギー、縦軸にそのエネルギーの持ったガンマ線の数をグラフで表したものである。


生物学的半減期
生物体に存在する放射性核種が通常の生物学的過程たとえば代謝や排泄作用などによってその半分が体外に排出されるのに要する時間。


制御棒
制御棒は中性子をよく吸収するほう素やハフニウムで作られており、加圧水型原子炉では、制御棒を燃料集合体内部に内蔵するようにつくられている。この制御棒を出し入れすることにより原子炉内の中性子数を加減し、核分裂を制御する。通常制御棒は、でゆっくり上下させるが、原子炉内で異常事態が発生して、緊急に原子炉を停止させる必要が生じた場合には、急速に原子炉内に挿入させて核分裂を停止させることができる。


積算線量
ある期間にわたって放射線が照射された時の、吸収線量の合計値。たとえば、1時間あたりの吸収線量率が1グレイ毎時であるような場所に1日いた場合の積算線量は24グレイとなる。


線量限度
放射線被ばくによる有害な影響の発生の防止又は容認できるレベルにまで制限するために設けられた放射線被ばくの制限値。不必要な被ばくは避け、線量はできるだけ低く保つという条件が前提にあって線量限度は決められたものである。


[タ] 目次へもどる


大気安定度
大気中に放出された放射性物質の拡散予測に用いられ、風向風速とともに重要な気象パラメータの一つ。拡散の度合いを示す指標で、A〜Gに分類される。Aはよく拡散する状態を表し(不安定)、Gは非常に拡散しにくい状態を表す(強安定)。またB〜Fはこれらの中間の状態を段階的に表す。


チェルノブイル原子力発電所事故
旧ソ連キエフ市北方約130キロのチェルノブイル原子力発電所4号機で昭和61年(1986年)4月26日に起きた事故。史上最悪の事故で、炉心の一部が破損し、放射性物質による汚染が広範囲に及んだ。原子炉設計上の欠陥及び操作員の規則違反によるもの。


中性子
原子核を構成する素粒子の一つ。質量数は1。電気を帯びていないので原子核内に容易に入ることができ、種々の核反応を起こす。エネルギーによって核反応の形は異なるが、発電用原子炉の中の核分裂連鎖反応において重要な中性子は0.025エレクトロンボルト程度の運動エネルギーを持ったもので、これは熱中性子と呼ばれる。


超ウラン元素
原子番号92のウランよりも大きな原子番号を持つ元素の総称。いずれも人工放射性核種で天然には存在しない。ネプツニウム、プルトニウム、キュリウムなどがあり、大部分がアルファ崩壊してアルファ線を放出する。


TLD
熱蛍光線量計の欄参照。(Thermoluminescence Dosimeter の略)


テレメータシステム
何カ所かに配置された観測局(無人の場合が多い。)で測定したデータを、電話回線や無線等を使い自動的に一定時間間隔で中央監視局に集める装置。道および北海道電力鰍ナは泊発電所周辺にモニタリングステーション、モニタリングポスト、気象観測局等を設置し、ここで測定された線量率、気象観測等の結果を10分ごとに原子力環境センターに伝送し、環境放射線等の常時監視を行っている。


電子ボルト
エレクトロンボルトの欄参照。


電離箱
放射線検出器の一種。気体を封入した箱の中で、2つの電極に高電圧をかけ、放射線の電離作用によって生じたイオンを電極に集め、このイオン量を測って放射線の強度を測定する装置。電離箱検出器は主としてガンマ(X)線による空間線量率の測定に利用される。


同位体(同位元素)
原子番号が等しく、質量数が異なる核種。アイソトープともいう。同位体のうち放射性を持つものを放射性同位体、そうではないものを安定同位体という。たとえば、水素一(1H)、重水素一(2H)、三重水素一(3H)は互いに同位体であり、このうち三重水素はβ線を出す放射性同位体である。放射性同位体はラジオアイソトープとも呼ばれるが、最近では単に同位体あるいはアイソトープといえばこの放射性同位体をさすことが多い。


等価線量
人体に放射線が当たった場合、吸収線量が同一であっても、その放射線の種類やエネルギーによってその影響は異なる。たとえば、同じ1グレイの吸収線量でもアルファ線による場合とガンマ線による場合とでは、アルファ線のほうがはるかに大きな障害を引き起こす。このように被ばくの影響をあらゆる種類の放射線に対して共通の尺度で評価するために使用する量を等価線量といい、シーベルト(Sv)という単位で表す。旧単位としてはレムが用いられていた。(参考:1Sv=100rem)ある臓器の等価線量は次式で表される。
 等価線量=吸収線量×放射線荷重係数
放射線荷重係数はβ線、γ線、X線を1、中性子線はエネルギーにより5〜20、α線は20である。


ドップラー効果
原子炉の出力が上昇して燃料の温度が上昇し、ウラン原子の熱運動が激しくなると、ウラン−238がより多くの中性子を吸収するようになる。これをドップラー効果といい、その結果核分裂を引き起こす中性子数が減少し、出力が低下する。軽水炉における自己制御性(固有の安全性)の一つ。


トリチウム
水素の放射性同位体である三重水素の別称。水素の原子核は陽子1個からできているが、トリチウムの原子核には陽子1個と中性子2個が存在する。半減期は約12年。


[ナ] 目次へもどる


内部被ばく
生体内に摂取された放射性物質から出る放射線を受けることをいう。体内被ばくともいう。人間は、普通飲食物に含まれるカリウム−40等の自然放射性物質を体内に取り込むことにより、年間約0.35ミリシーベルトの内部被ばくを受けている。


熱蛍光線量計
蛍光体(フッ化リチウムや硫酸カルシウム)に放射線を照射し、その後温度を上げると光を発する特性(これを熱蛍光特性、または熱ルミネッセンス特性という。)を利用した線量計。小型で感度がよく、環境モニタリングの分野では積算線量の測定に用いられる。熱ルミネッセンス線量計ともいい、TLDと略す。


濃縮係数
環境中の放射性物質が生物の体内で次第に蓄積されることが知られているが、無制限に濃縮されることはない。これ以上濃縮されない最大の数値があり、これを濃縮係数といっている。濃縮係数は物質(元素)の生体中の濃度と環境物質(水など)濃度との比で表される。


[ハ] 目次へもどる


半減期
放射性核種は崩壊により原子数が時間の経過とともに減少していく。放射性核種の数が元の1/2に減少するまでの時間を半減期といい、それぞれの放射性核種に固有の長さを持っている。半減期の1倍、2倍、…10倍の時間が経過すると放射性核種の数は、それぞれ最初の値の1/2、1/4…1/1024に減少する。生物学的半減期に対し、物理学的半減期ということもある。


反応度事故
過大な核分裂反応が一時的に起き、制御できないまま出カが急上昇する事故。チェルノブイル原子力発電所事故は、反応度事故であったとされている。


非常用炉心冷却装置
万一の事故を考慮した原子炉の安全装置の一つで、例えば主蒸気管等が瞬間的に破断することによる冷却材喪失事故などの場合、自動的に直ちに炉心に水を送って核燃料を冷却するよう互いに独立した多重機構からなっている。加圧水型では安全注入設備、格納容器圧力低減設備、余熱除去設備を設置している。ECCSともいう。


BWR
沸騰水型原子炉の欄参照。(Boiling Water Reactor の略)


PWR
加圧水型原子炉の欄参照。(Pressurized Water Reactor の略)


フィードバック機構
弁の開閉など駆動機構として、指示したとおり正しく作動しているかどうかを検出器によって常にチェックし、指示値と実際の状態が一致するまで自動的にコントロールされるようになっているシステム。


フェイルセイフシステム
原子炉の安全・設計の基本的考え方の一つで、装置の一部が故障して、装置全体が正常に作動しなくなっても、必ず装置が安全側に作動するような設計上の考え方や、装置をいう。


フォールアウト
放射性降下物の欄参照。


沸騰水型原子炉
原子炉の水を沸騰させてできた蒸気をそのままタービンに送る直接サイクル型の発電用原子炉である。構造は簡単であるが、タービンに極微量の放射性物質を含んだ蒸気が送られることになる。原子炉内の圧力は約70気圧で約285℃の高温の蒸気を作り出す。BWRと略す。


プルサーマル計画
プルサーマル(プルトニウムをサーマルリアクタ(熱中性子炉)で利用すること)とは使用済燃料の再処理によって回収されるプルトニウムをウランと混合した酸化物燃料(MOX(モックス)燃料;Mixed Oxide Fuel)の形で主として軽水炉で利用するものである。我が国ではプルトニウムを利用するために必要な技術体系の確立、体制、制度の整備を図るとともに核拡散防止への配慮から余剰プルトニウムの不所持の原則のもとに現時点において、研究用のものを除き、全てMOX燃料に加工し、軽水炉で利用するこの計画を進めて行くことにしている。


ベクレル
記号Bq。放射能の単位。1秒間に1個の原子核が崩壊することを1ベクレル(Bq)という。旧単位のキュリーに相当する(参考:1Ci=3.7x1010Bq)


べ一夕線(β線)
べ一夕崩壊により原子核から放出される電子線。気体に対する電離作用はアルファ線よりも弱い。化学作用、蛍光作用、写真作用がある。物質の透過力はアルファ線よりは強いが、2〜3ミリ程度のアルミニウム板により阻止できる。人体に与える影響はガンマ線より大きいが、アルファ線のように大きくはない。


べ一夕崩壊(壊変)
放射性崩壊の一種で、原子核から電子が飛び出す現象である。負と正のべ一夕崩壊があり、まず安定な原子核が中性子を吸収した場合や、核分裂生成物のように中性子数が陽子数に比して多い場合、中性子のどれか一つが電子を放出して陽子に変化する。ここで放出される電子をβ線と呼び、中性子が陽子に変化するので原子核の陽子数は一つ増加する。逆に原子核の中で陽子の数が多い場合は陽子が中性子に変わり、その際陽電子が放出される。これをβ崩壊と呼ぶ。また、原子核中の陽子が軌道電子を捕らえて中性子になることを軌道電子捕獲という。以上のβ崩壊、β崩壊、軌道電子捕獲を合わせて広い意味でのべ一夕崩壊という。


ボイド効果
炉水が加熱されて気泡が生じると減速材である水の密度が少なくなり、高速中性子が減速されにくくなることから核分裂反応に必要な熱中性子が減少し、その結果、核分裂の連鎖反応が抑制されて出力が低下する現象。ボイドは蒸気泡の意味。軽水炉における自己制御性(固有の安全性)の一つ。


放射性核種
核種の欄参照


放射性同位元素
同位体(同位元素)の欄参照。


放射性降下物
過去の核爆発実験等によって生じた放射性物質を含んだ粒子状物質などが降下したもの。


放射性プルーム
排気筒から放出された気体状の放射性物質を含んだ空気。これらは大気と混合しながら拡散移動していく。放射性雲ともいう。


放射性崩壊(壊変)
核種がアルファ線、べ一夕線またはガンマ線等を放出して、より安定な他の核種に変わっていく現象。(参照:アルファ崩壊べ一夕崩壊)


放射線
空間を伝ばん、移動するエネルギーの流れで、アルファ線、べ一夕線などの粒子線とガンマ線、X線などの電磁放射線に分類される。普通は電離作用をもった放射線を指して用いられる。したがって、光やラジオ電波などは放射線とは呼ばれない。放射能と混同されることが多いが、両者は異なるものである。


放射線感受性
生体の放射線による影響の現れやすさ。細胞分裂が盛んな組織や器官ほど感受性が高い。造血臓器、生殖線などは感受性が高く、皮膚、腸、中枢神経は中程度、筋肉、骨、末梢神経などは放射線に抵抗力があるといわれている。


放射線モニタリング
放射線を定期的あるいは連続的に監視・測定すること。原子力施設の周辺には施設からの影響があるかどうか監視するため、モニタリングステーションなどの連続監視施設を設置し、監視する。放射線モニタリングは環境のモニタリングと個人が受けた放射線量のモニタリングに大別される。


放射能
不安定な原子核が放射性崩壊をして、それに伴いアルファ線、べ一夕線またはガンマ線等放射線を放出する性質またはその能力をいう。放射能の単位は単位時間あたりの崩壊数で表され、1秒間あたり1個の原子核が崩壊するとき1ベクレルであるという。


ポケット線量計
原子力施設等で作業を行う場合、個人の外部被ばくを管理するために使用する小型携帯用放射線測定器。電離箱形式のものは、形状が万年筆型で衣服の胸ポケットに装着して使用する。最近は、検出部に半導体検出器、表示部にデジタル液晶表示式を採用した電子ポケット線量計も市販されており、これらは、対衝撃性、読み取り易さなど使い勝手が従来のものよりも格段に改良されているため、近年普及してきている。


ホールボディーカウンタ
身体内に取り込まれた放射性物質を検出、定量する装置で、ヒューマンカウンタとも呼ばれる。


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娘核種
親核種の欄参照


モニタリングステーション
空間ガンマ線の線量率および積算線量ならびに気象要素の測定を行うとともに大気中放射性物質の採取を行うための多目的な用途をもつ野外固定施設。道および北海道電力鰍ナは泊発電所の周辺地域10カ所に設置しており、線量率、気象観測等について測定したデータを10分毎にテレメータシステムによって原子力環境センターに送っている。


モニタリングポスト
空間ガンマ線の線量率および積算線量等の測定を行うための野外固定施設。道および北海道電力鰍ナは泊発電所の周辺地域10カ所に設置しており、線量率等について測定したデータを10分毎にテレメータシステムによって原子力環境センターに送っている。


モニタリングポイント
空間ガンマ線の積算線量の測定を行うための野外固定施設。道および北海道電力(株)では泊発電所周辺地域66か所に設置しており、TLDで積算線量を測定している。


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ヨウ素剤
緊急時において、呼吸または飲食物を通じて、放射性ヨウ素が人に摂取されると、甲状腺に集まりやすい性質がある。この放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを軽減するために服用する医薬品。KI(ヨウ化カリウム)が用いられる。体内に摂取された放射性ヨウ素は迅速に血液中に移行するが、その時点、あるいは前もって安定ヨウ素を摂取すると、血液中の安定ヨウ素に対する放射性ヨウ素の割合が減少し、甲状腺に到達する放射性ヨウ素の量が減少する。さらに、血液中の安定ヨウ素濃度が増加するため、甲状腺のヨウ素蓄積速度が制限される。このようにしてヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを減少させることができる。


預託線量
ある個人が放射性物質を体内に摂取した結果、これにより、その時点から50年間にわたって被ばくし続ける線量の総和。この値が個人の線量限度を超えないように制限する。


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ラジオアイソープ
同位体(同位元素)の欄参照。


ラド
吸収線量の欄参照


冷却材
原子炉の炉心部から熱を取り出す役目をするもの。軽水、重水、気体(CO2、He)、液体金属(Na)などが使用される。中性子を吸収しにくいこと、放射線によって変質しないことなどが必要である。泊発電所は冷却材として軽水(普通の水)を用いるタイプで、軽水炉と呼ばれる。


レム
等価線量の欄参照。


レントゲン
照射線量の欄参照



(北海道の原子力−2001−平成14年3月 から転載)



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